滋賀県甲賀市信楽町に計画された、夫婦と子供の為の住宅である。敷地は、3方が道路に囲まれ、残りの1方である南側にも1m程高い位置に公営駐車場があり、周囲からの視線の処理が大きな課題である一方、北側には美しい山並みの眺望が期待できた。
まず１階部分においてはできる限り周囲に向けたの開口部を抑制し、代わりに北側に小さな中庭を配置して採光を確保した。さらに南側に配した階段の吹抜けに、公営駐車場からの視線に注意しつつ高窓をとる事で、視線を遮りつつ南側から間接的な採光を得ることとした。それに対して2階の各寝室には北側に向けて水平窓を設ける事によって、順光の美しい風景を楽しめるようにした。
外観は四方から見られる事を意識して、1階と2階の平面形状の違いを強調するために2種類の柄の違うサイディングを2層に分けて使用しながら中庭の擁壁と連続させる事で、コンパクトではあるが見る位置によって見え方が変化するデザインとなっている。
北側採光と南側からの間接採光によって、柔らかい光に包まれた安心感のある生活空間となる事を目指した。